※ このページは、「ビケ♪とダンナのアメリカ珍道中」と「学会&音楽祭レポート in USA」の共通コンテンツです。

 

9.ボストン古楽祭 (200368日〜16日)

 

第5日目(13日)は、午前9時より、First Lutheran教会にて、「北ドイツ・オルガン・ミニ・フェスティヴァル」と称したレクチャー・コンサートが行われた。使用楽器は、Richards Fowkes & Company作(2000年完成)のバロックタイプのオルガン。E. Belloti氏、H. Davidsson氏、W. Porter氏、以上3人のオルガニストが、北ドイツ・オルガン楽派の作曲家に影響を与えた時代背景などを、分かりやすく説明し、演奏を行った。Belloti氏は、北ドイツ・オルガン楽派が受けたイタリアからの影響を、QuagliatiG. GabrieliScheidemannの作品を例に挙げて解説。Davidsson氏は、マッテゾンの記述したScheidemannPretoriusの性格と音楽のキャラクターの違いについて解説した後、Scheidemannの「天におわすわが父」の4つのVersと「マニフィカト」を演奏。Porter氏は、初めに、様々なストップを使ったベルガマスカによる即興演奏で、使用オルガンのデモンストレーションを行った。その後、Scheidemannのモテト「Dic nobis Maria」のインタブレーションなどを演奏。

 

ファースト・ルテラン教会のバロックオルガン

 

正午より、Kings教会にて、大西たかえ氏のリサイタル。教会内部は、白を基調とした内装で、会衆席が5~6人のコンパートメント(升席)になっている。かつて、教会全体を暖める暖房設備がなく、それぞれのコンパートメントで暖をとった名残りとのこと。そんな、歴史を感じさせる雰囲気の中、フロベルガーやバッハの「トッカータ」、ブクステフーデ、シャイデマンの作品などが演奏された。

 

キングス教会内部

 

午後5時からは、H. PerlA. Weimannによる、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのリサイタル。KuhnelSchenckRuheC. P. E. BachJ. S. Bachのソナタ、Abelのファンタジアなどが演奏された。Perlの濃密な隙のない演奏に、聴く人は集中することを余儀なくされた感じ。Weimannも、後半にC. P. E. Bachの「ラ・フォリア」で、息をつく暇がないスピード感のあるソロを聴かせていた。

 

8時、The Tolzer Knabenchorのコンサートでは、シュッツのモテットが演奏された。言葉を「語る」ように、子音を立たせたドイツ語の発音が、美しかった。指揮者が大振りなのが、ちょっと邪魔に感じたが、いたずら盛りの少年達をまとめるには、それくらいのパワーが必要なのだろうか。各パートが独唱による演奏の際に、コンチェルト・パラティーノとのコラボレーションが行われたが、少年の声が菅の響きに消され気味なのが残念だった。

 

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6日目(14日)は、午前中は再び展示会を覗きに行き、そのまま午後2時からの、コンチェルト・パラティーノと「アリアドネ」参加歌手によるコンサートへ。C. Straussの作品を中心としたプログラムが演奏された。C. Strauss1575?1631)は、神聖ローマ帝国フェルディナントU世に嫌われて、宮廷からの地位を追われた作曲家で、長いこと音楽学者の間では、その作品の重要性が知られていたが、演奏される機会に恵まれずにきた作曲家とのこと。こちらのコラボレーションは、粒ぞろいの歌手7人と、B. Dickey率いるコンチェルト・パラティーノの技術の高さもさることながら、双方が求める音楽の方向性がマッチしていて、スタンディング・オべーションが出るほどの、観客の心を捉えた演奏だった。

 

コンチェルト・パラティーノ&アリアドネのメンバー

 

8時からのTallis Scholarsの演奏会では、SenflIsaacJosquan de Presのモテトとミサが演奏された。開場直後に、チケットを交換してもらい、初めてジョーダン・ホールの2階席前列へ。響きは、一階席後方よりも、空気を含んだ温かみがあるように感じた。演奏曲目では、有名なJosquanの「アベ・マリア」と、それをSenfl6声に改作したものとの対比が、興味深く聴けた。移り行く、隙のない響きの綾の中に、ずっと浸っていたい気分だった。

 

タリス・スコラーズ

 

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最終日(15日)、午後1230分より、REBELのコンサート。フェスティヴァル主催コンサートとしては最後のコンサートである。「Telemann alla Polacca」と題され、ポーランドの音楽から影響を受けた楽章を含む、ソナタ・コンチェルト・組曲が集められていた。リズムの切れがよく、見た目にも楽しそうな演奏。アンコールに、ヴィヴァルディーのフラウティーノのためのコンチェルトが全曲演奏され、予想外の大サービスに、聴衆は大喝采を送っていた。

 

楽器展示場での無料デモンストレーション

 

8時からは、First Lutheran Churchにて、M. C. Hunter(ソプラノ)S. Cortesio(ヴァイオリン)T. Rinaldi(フラウト・トラヴェルソ)K. Ueyama(チェンバロ)P.-A. Bouvrette(チェロ)によるコンサート。J. S. Bachのカンタータやヴァイオリンとチェンバロのソナタ、Vivaldiのチェロ・ソナタ、Handelのカンタータなどが演奏された。

 

素晴らしい演奏会が目白押しの、長いようであっという間の一週間だった。まだまだ時間が足りなかったような気もする。展示会も、くまなく見るには、相当時間がかかっただろうし、フェスティヴァル招聘アーティストによるマスタークラスも、今回は聴けなかった。また、主に鍵盤楽器の展示会場で行われていた、たくさんの無料デモンストレーション↑も、行ってみるまで分からなかった予想外の聴きどころだった(有名な演奏家もずいぶん弾いていたようである)。欲を出せばきりがないが、それでも収穫の大きかった1週間。2年後を楽しみに待ちたいと思う。(終)

 

 

演奏会の合間に歩いたボストンの風景 その2

クインシーマーケット

 

クラムチャウダー食べました

 

 

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